広島菜とは

広島の豊かな自然が育んだ野菜

広島菜はアブラナ科に属する野菜で白菜の一種です。ひとつの株が数キロに及ぶほど大きく、葉も茎も幅広なところが特徴です。そんな広島菜はわさびに似た辛みとシャキシャキとした心地の良い食感があります。また、栄養素にも優れており、ビタミンA・ビタミンC・カルシウム・カリウム・食物繊維が豊富です。収穫されるとそのほとんどが広島菜漬け用として出荷され、広島菜の生産と加工を同時におこなう農家が多いのですが、県内にはたくさんの広島菜漬けメーカーも存在しています。メーカーごとにこだわりの漬け方があり、食べ比べをするのもおすすめです。

広島菜漬け

広島のソウルフードとして愛されるまで

広島菜を漬物にした「広島菜漬け」は九州の「高菜漬け」、信州の「野沢菜漬け」と並び日本の三大漬け菜として知られています。広島の名産品でもある広島菜漬けは各家庭で作られるほど地域に根付いた食品で、広島のソウルフードの1つです。広島菜の歴史はとても古く、文献によると1600年前後にはすでに存在していたとされています。参勤交代で江戸から現在の広島県まで帰る道中、京都本願寺からその種子を持ち帰ったことで広島菜の栽培が始まったと言われています。当初は京都からやってきた野菜ということで「京菜(きょうな)」、茎が平べったいことから「平茎菜(ひらくきな)」と呼ばれていました。その後、明治時代初期ごろに現在の広島市安佐南区川内に住む木原才次さんという方が改良を重ね、いまの広島菜の原型が出来たと言われています。このようにして生産が盛んになっていった広島菜は、瀬戸内海を通じて京都や大阪などに流通するようになり、少しずつ関西で知名度を上げていきました。それと同時に広島菜の生産農家では「広島菜漬け」を作るようになり、こちらもまた近隣の県へと出荷されるようになっていきます。「広島菜」という名前が付いたのは、昭和8年に広島県産業奨励館(いまの原爆ドーム)で展示出品されたときに命名されました。この頃から広島菜は全国的に知られる野菜へと成長していき広島のソウルフードとして地域に根付きました。

広島菜の活用

家庭料理を支え、食卓に喜びを与える

漬物になった広島菜はそのままご飯の副菜として食べられることが大半ですが、お酒の肴としても非常に好まれています。しかし、そのまま食べる以外にも色々な料理に使われており、チャーハンやおにぎりの具材に使用したり、ちりめんと合わせたりします。おにぎりに使うときは目張り寿司のようにして、広島菜漬けでおにぎりをクルッと巻いてしまうスタイルも人気です。生のままの広島菜が手に入った場合は炒め物にすることで、シャキシャキとした独特な食感が生まれます。塩分などを調整すると美味しく仕上がるので参考にしてみてください。このように広島菜は多くの家庭料理に活用され、私たちの食卓を支えています。