酒と飯インタビュー×料理長

インタビュー×スペイン居酒屋 アニモ

広島電停中電前駅より徒歩9分のところにあるスペイン料理の名店『スペイン居酒屋のアニモ』。本場スペイン・バルセロナで1年間修業した料理をさらに進化させて提供されています。本日はオーナーの渡部誠二様にインタビューさせていただきました。

お店:スペイン居酒屋 アニモ
住所:〒730-0043 広島県広島市中区富士見町4-5
SNS:https://www.instagram.com/bar_de_espana_animo/

Q. 飲食店を始めようと思ったきっかけは?

高校生の頃から独立したいという気持ちを持っていましたが、実際に何をすればいいのかわかりませんでした。そしてそのまま高校を卒業し、就職したホテルで鉄板焼きの料理人をすることになりました。本当はベルボーイを志望したのですが人数が多く、料理人に配属されました。すぐ辞めるのも悔しくて、ある程度まで働いたら辞めようと思っていましたが、それからずっと続けることになりました。

Q. ホテルの料理人からご自身のお店を持たれるまでの経緯を教えてください。

知り合いのジャンボさんという方がラ・カンペシーナというスペイン料理のお店を広島でしていました。その方が、お店を大きくするのに手伝ってほしいと声を掛けていただいて、6年~7年ほど働きました。その頃に、ジャンボさんの体調が悪くなり、店を閉めるか、店を継いでほしいという話になりました。迷いましたが、スペインには旅行で行ったことはありますが、料理の見識は自身でお店をするまではなかったので、お店を継ぐ自信がありませんでした。そこで、ジャンボさんの繋がりを頼らせてもらい、『スペインに行かせてほしい!』とお願いをしました。ジャンボさんはいいけど、その代わりに帰ってきたらお店ないよ。と言われましたが、いづれは自分のお店を持ちたいと思っていたのでお願いをしてスペインにいかせてもらいました。

スペイン、バルセロナでの1年間の修行

バルセロナでは多くの日本人が和食の料理屋をしています。その中でピンチョス(*小さく切ったパンに少量の食べ物がのせられた軽食)の形態でお店をしたい方がいらっしゃったので、料理開発の仕事を3か月~4カ月していました。そしてお店がオープンしたときも3カ月ほどそこでスタッフとして働きました。そのときは、他にも出張料理をしてみたり、ホテルで料理人をしたりしました。ホテルで働いているときに偶然エル・ブジ*¹のフェラン・アドリアさんとお会いして少しの時間ですが一緒にお仕事をさせていただきました。ちょうどそのころフェラン・アドリアさんは和の料理を研究していて話が盛り上がりました。エル・ブジの料理は科学の料理で、液体窒素を使用した瞬間冷凍や、低温調理もエル・ブジが発祥です。いくつか試作している料理を味見させてもらいましたがどれも美味しさで感動しました。本当に貴重な体験ができました。そうしている間に、1年が経ち帰国の時期が近づいてきました。マレーシアの1つ星ホテルで働く予定もありましたが、ビザの更新で帰国した時に、もう独立してもいいのではないか?と思い、物件探しを始めました。そして現在の場所を見つけてお店を立ち上げました。それから15年ほどお店をしています。

Q. お店の名前の由来は?

アニモの意味は勇気、魂という意味ですが、会話で使うときには、もうちょっと頑張れ!という意味です。スペインで仕事をしているときに、「頑張れ、頑張れ!」の意味で「アニモ、アニモ!」と言われたので、その経験からアニモという名前にしました。

Q. 自慢の一品は?

ニンニクスープです。ニンニクスープは2日間だしを取る工程があります。まず牛のだしを取るために5時間ほど煮込み、1回冷まします。そうすると次の日にはスープの香りがぐんと良くなります。パエリアもそうです。ピガータというアーモンドのペーストと、パプリカベースのトマトソースを合わせ、さらにえびと魚のだしを取っています。香味料はサフランではなく、コロランテというものを使っています。バルセロナでは9割ほどコロランテを使っていました。初めて来られる方にはぜひ味わっていただきたいです。

本場スペイン料理を日本人の舌に合わせるために工夫されたことは?

スペインでは料理でだしをあまり取りません。日本人はうまみ成分を理解することができるので、全ての料理に対してだしを取るように心がけています。本場スペインの料理を全てグレードアップしているような感じです。

グレードアップしていますが、お手頃な価格に抑えているので気軽に来ていただきたいです。いつ来ていただいても大丈夫なように常にいいものを提供できるように準備しております。

*エル・ブジ:https://acueducto.jp/especial/vol33/el-bulli-desde-sus-inicios-hasta-el-final/

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